妙技の応酬が心地よくも奥深いジャズギターの“師弟共演”
ジム・ホール&パット・メセニー
コンテンポラリージャズギターの基礎を作り上げた「現代ジャズギターの父」ジムホールと、1975年のデビュー以来、ジャズ&フュージョンの新しい地平を開き続けてきたパット・メセニー。
新旧のギターヒーローによる1999年リリースのデュオアルバムが本作である。
このときジムは69歳で、すでに大御所中の大御所。
パットは45歳で二まわりも年下であり、直接の薫陶を受けているわけではないが、かねてからジムへのリスペクトを示していた。
満を持しての“師弟共演”といっていいいだろう。
演奏が悪かろうはずがなく、共に軽やかにして流麗で、技の応酬ではあるのだが互いに攻める感じは薄く、心地よい対話が続く。
というか、むしろ似通っていることに驚く。
左チャンネル:ジム、右チャンネル:パットだとわかっているが、たまにどっちだかわかんなくなる、というか、もうどっちでもよくなる(笑)
どちらかといえばパットがジムに寄せていて、パットのあの華やかに舞うような印象は控えめで、ストレート・アヘッドな演奏が印象的だ。
1969年、パットが15歳のとき、ジムとロン・カーターのデュオライヴをニューヨークで聴いたそうだ。
同行したのは、当時パットが師事していたギタリストのアッティラ・ゾラー。
本作ではそのアッティラ・ゾラーの作品を取り上げていて、なるほど本作は自身のキャリアを振り返る意味もあったのだろう。
なお、このアルバムのジャケットは、リリース当初、黒バックに二人の名前だけのシンプルなデザインだったが、その後レーベルが変わってギターを持つ二人のポートレートになった。
こちらのジャケットのほうが印象深いファンのほうが多いだろうし、内容に見合ったデザインだと思う。
1. Lookin' Up
2. All The Things You Are
3. The Birds And The Bees
4. Improvisation No.1
5. Falling Grace
6. Ballad Z
7. Summertime
8. Farmer's Trust
9. Cold Spring
10. Improvisation No.2
11. Into The Dream
12. Don't Forget
13. Improvisation No.3
14. Waiting To Dance
15. Improvisation No.4
16. Improvisation No.5
17. All Across The City
