ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

East Coast Love Affair / Kurt Rosenwinkel (1996)

26歳のデビュー作にしてリバーブやディレイを多用した“らしさ”たっぷり

イースト・コースト・ラヴ・アフェア / カート・ローゼンウィンケル

“現代ジャズ・ギターの皇帝”とも称されるカート・ローゼンウィンケルのデビュー作。

メジャーレベールからリリースする前の1996年、スペインのレーベルに残したアルバムで、ニューヨークのジャズクラブ「Smalls Jazz Club」でのライブ録音だ。

このときまだ26歳だが、才気煥発。タダモノではないことは一聴すれば明らかだ。

ベースは当代屈指のアヴィシャイ・コーエン、ドラムはブラッド・メルドーとの共演で知られるホルヘ・ロッシ。

96年当時のニューヨークで、若手の代表格である辣腕二人とがっつり組んだトリオ編成である。  

スタンダード中心の選曲で、コルトレーンの「Lazy Bird」、モンクの「'Round About Midnight」、ビル・エヴァンスの「Turn Out The Stars」などを採り上げ、レジェンドへの敬意を示しつつ新たな解釈を展開する。

一方でアタマとラストにオリジナルを配し、独自色のアピールも如才ない。

演奏はというと、複雑ながら洗練されたコードヴォイシング、ひと癖あるスリリングなソロフレーズの数々。デビュー作ではあるものの、この時点ですでにカート・ローゼンウィンケルらしさは満開だ。

ジャズジャーナリズムによる評価も高く、伝統的なジャズを現代的に再解釈・再構築する好例として位置づけられた。

リリースから30年が経過するけれど、古さはまったくと言っていいほど感じない。

アルバムタイトルにもなっている1曲目は、現在でもライヴのセットリストの定番曲である。

 


1  East Coast Love Affair
2  All Or Nothin' At All
3  Turn Out The Stars
4  Pannonica
5  Lazy Bird
6  'Round About Midnight
7  Little White Lies
8  B Blues

Recording Date : July 10, 1996 - July 24, 1996
Recording Location : Small's Club, New York, NY

 

Kurt Rosenwinkel – Guitar
Avishai Cohen – Bass
Jorge Rossy – Drums