レジェント二人による、ブラジル音楽へのリスペクト溢れる秀作
ブラジル / リー・リトナー&デイヴ・グルーシン
1985年リリース、グラミー編曲賞を受賞したブラジリアン・フュージョン『HARLEQUIN』の続編となるアルバム。
40年も経って続編というのもすごいが、それもこの二人が現役バリバリゆえのこと。
何となく中身は想像できてしまうが、そのぶん、安心して聞ける作品とも言える。
と思っていたら、実のところはなかなか凝った内容になっている。
リトナーとグルーシンが注目するブラジリアン・ナンバーを、そのオリジネーターをフューチャーしつつ、独自のアレンジで聴かせるという仕様だ。
ややベタに言えば、敬愛するブラジル音楽にインスパイアされつつ、自らの表現を拡張を意図した作品なわけだ。
参加メンバーはリトナーとグルーシン以外は、みなブラジル人。
リズム隊は、ブルーノ・ミゴット(b)、エドゥ・ヒベイロ(ds)、マルセロ・コスタ(perc)の3人。
いずれも現地では名の知れた辣腕だそうだ。
ヴォーカルには『HARLEQUIN』にも参加していた大物イヴァン・リンス。
トゥーツ・シールマンス亡き後を継ぐハーモニカの俊英グレゴア・マレ。
などなど参加ミュージシャンは逸材揃いで、これもリトナーとグルーシンの実績とネームバリューゆえだろう。
演奏の技術レベルは相当に高いが、もとよりテクニックで聞き手を攻めてくるような作品ではない。
軽妙洒脱なサンバに清涼感あふれるアコギ、哀愁漂うハーモニカ。
ゆったりまったり、心身に心地よい演奏が続く。
もちろん主役である二人のソロには聞きどころが多々あり、ジャズっぽいテイストがグッと前に出てくる。
西海岸のミュージシャンを集めた『HARLEQUIN』よりは、ブラジル色、ジャズ色、共に濃いような印象だ。
“続編”という先入観は捨てて、じっくりと味わいたい。
1 Cravo E Canela (Cloves & Cinnamon)
2 For the Palms
3 Catavento
4 Vitoriosa (Victorious)
5 Meu Samba Torto (My Crooked Samba)
6 Stone Flower
7 Boca de Siri (Keep It Quiet)
8 Lil Rock Way
9 Canto Invierno (Winter Song)
Lee Ritenour (acoustic guitar, electric guitar)
Dave Grusin (piano, keyboard, electric piano)
Bruno Migotto (electric bass, bass)
Edu Ribeiro (drums)
Marcelo Costa (percussion on 3, 5, 6, 7?)
Unknown (flute on 3)
Ivan Lins (vocal on 4)
Tatiana Parra (vocal on 1, 4) (possibly? also on 5, 8)
Celso Fonseca (vocal, guitar on 5)
Chico Pinheiro (guitar on 6) (vocal on 7)
Grégoire Maret (harmonica on 1, 2, 8)
