ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン
1941年「ミントンズ・ハウス」でのセッションを記録した歴史的重要作
チャーリー・クリスチャンは1916年生まれ。ジャズギターの開祖とされるレジェンドである。
カントリーとジャズの両方に影響を受けてギターの修練を重ねたチャーリーは、1939年、ベニー・グッドマン楽団のメンバーに起用される。
楽団で演奏活動を行う一方、ニューヨークで次世代ジャズを担う精鋭たち、ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンクらと出会い、共演の機会を得て、夜な夜なジャムセッションを重ねていく。
その模様を収めたのが本作「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」で、ビバップが誕生した瞬間とも言われる歴史的な重要作だ。録音は1941年である。
チャ-リーがこの時代に残した最大の功績は、それまでリズムやコードなどバッキングが主体だったギターを、アドリブやソロをとれる楽器へと進化させたこと。
彼は1942年、25歳という若さで他界するが、同時代のギタリスト、後に続くギタリストに、多大な影響を与えた。
なお、日本では『ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン』の邦題で知られるが、ジャケットの題字でもわかる通り、ディジー・ガレスピーとの双頭である。
そもそもチャーリーはリーダー作を一枚も残していないのだ。
このアルバムも、プロがオフィシャルに企画、録音したものではなく、参加メンバーなど正確な記録は残っていない。チャーリー・クリスチャンとディジー・ガレスピーは間違いないようだが、セロニアス・モンクはやや曖昧で、曲によっては他の誰かという説もある。
録音したのは、アマチュアのジェリー・ニューマン(Jerry Newman)という人物で、いわゆるダイレクトカッティングの機械を持ち込んで収録したらしい。
おそらくマイク一本での簡素なものだったろうし、収録時間の物理的制約からフェードイン・フェードアウトだらけだが、未完成で荒っぽいがゆえに、その息遣いが生々しいい。
このジェリー・ニューマンは、当時各所で同様の録音を行っており、まだ録音・再生が一般的ではなかった時代、ミュージシャンや好事家にずいぶん喜ばれたという。
アマチュアではあるものの、ジャズの歴史を語るうえで、重要な人物の一人とされている。
Bass – Nick Finton
Drums – Kenny Clarke
Guitar – Charley Christian
Piano – Kenny Kersey, Thelonious Monk
Tenor Saxophone – Don Byas
Trumpet – Dizzy Gillespie, Joe Guy
1 Swing To Bop
2 Stompin' At The Savoy
3 Up On Teddy's Hill
4 Stardust
5 Kerouac
6 Stardust
7 Guy's Got To Go
8 Lips Flips
