ジャズギターを聴く

JAZZ GUITAR ALBUM SELECTION

Across The Universe / Al Di Meola (2020)

アクロス・ザ・ユニバース / アル・ディ・メオラ

多彩なギターテクニックを駆使したビートルズカバー集

超絶テクニックで知られるアル・ディ・メオラによるビートルズのカバー作品集である。

彼のビートルズカバーは、これが2作目で、前作は2013年の『All Your Life: A Tribute to the Beatles』。

そのあと、2枚のオリジナルアルバム『Elysium』(2015年)、『Opus」(2018年)を発表。

そしてこのカバーを出した。
おそらくは前のカバーの評判が良かったのだろう。

ビートルズの有名曲のカバーなんて星の数ほど出ているわけで、アイデアや演奏技術に際立ったところがないと「何をいまさら」と思われがちだ。

しかしアル・ディ・メオラはエレクトリック、アコースティック・ギターに加え、12弦ハープ・ギターを駆使し、さすがのテクニックとアレンジで、ビートルズの名曲の数々に、新しい輝きを与えている。

なかでも聞きものは、「ゴールデン・スランバー~キャリー・ザット・ウェイト~ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」という、かの名作「アビー・ロード」からのメドレー。
情感豊かなギターの響きが、心地よい余韻を残す。

また、「アイル・フォロー・ザ・サン」にはランディ・ブレッカーがトランペットでゲスト参加して、ギターとの見事なからみを聴かせる。

さらに「オクトパス・ガーデン」ではディ・メオラの愛娘エヴァが3歳のときの歌声を加えて和ませるなど、必ずしもギターだけに頼らないアイデアが、効果的に散りばめられている。

超高速ギタリストの印象が強いディ・メオラだが、音楽活動の原点にあるのはビートルズだそうだ

「私がギターを弾く理由はビートルズがいたからです。彼らのインパクトは本当に大きくて、音楽を学びたいと思った大きなきっかけになりました」と語っている。

なお、ジャケット写真は、ジョン・レノンのソロ・アルバム『ロックン・ロール』へのオマージュだろう。

 

01.Here Comes the Sun
02.Golden Slumbers Medley
03.Dear Prudence
04.Norwegian Wood
05.Mother Nature's Son
06.Strawberry Fields Forever
07.Yesterday
08.Your Mother Should Know
09.Hey Jude
10.I'll Follow the Sun
11.Julia
12.Till There Was You
13.Here, There and Everywhere
14.Octopus's Garden